全整調が終わり初めて出来るのが重量調整です。
ハンマー交換を行うと重量バランスが崩れるので、重量調整が必要になります。
(オーバーホールをしていなくても、弾きにくい場合重量調整は可能です。その際は整調が必要になります)
まず、重量をチェックし不必要な鉛をチェックします。その次に、チェックした不要な鉛をドリルを使って削り取ります。
不要な鉛を取り除いた後、その鍵盤には鉛の入っていた穴が残るので埋め木をします。
もちろん、鍵盤と同じ材質のスプルースで
埋め木していきます。
その埋め木が終わったら、鍵盤の面位置になるよう埋め木を削ります。
写真はその削っている様子です。
ピアノの重量調整は非常に繊細です。
ピアノは沢山の部品が隣接して成り立っています。
重量調整は、整調がきちんと出来ていることが重要なのですが、
それでも思わぬところで、ピアノのタッチに悪影響を及ぼす事があります。
その一つが、ハンマーやフェルト類の毛羽立ちの摩擦です。
沢山のフェルト類が使われているのですが、その毛羽立ちどうしが摩擦する事により
タッチに数グラムの影響が出る事があります。
それをなくすために、88キー全部の毛羽立ちをアイロンを使い取ります。
ハンマーだけが摩擦するわけではないので、要注意!
ここまでやって初めて鍵盤の重量を測定
できます。
どの位置に適切な鉛を入れていくのか慎重に
測ります。
鉛も数種類のサイズがあり、その鉛たちを
適切な位置に配置していきます。
この重量調整で良い事が沢山あるのですが、
その1つが微妙なアクションの動きの悪さに
気づける事です。
ひとつ前の工程でわかるように、フェルトの
毛羽立ちでタッチが変わります。
当然各セクションの支点部分や摩擦部分の
動きも再チェック出来るのです。
そういう意味でも、重量調整は非常にピアノの
コンディションをチェックするのに最適です。
◎写真は、鉛の入れる位置を調べている様子です。
鉛を新たに入れる位置が決まったら、その鉛を入れるための穴あけです。
ピアノの鍵盤はスプルースで出来ているので非常に柔らかくもろい素材です。
鍵盤の強度を考え慎重に穴あけをします。
鍵盤に鉛を入れる穴を開けたら、次は鉛を入れていきます。
ただ鍵盤に鉛を入れただけでは、鉛が鍵盤内で動いてしまうので専用の工具で鉛をかしめます。
これで、どれだけ激しい曲を弾いても鉛が動いてしまう事は
ありません。
◎写真は、鉛をかしめている様子。
鉛を入れ終わると、あとは最終チェックです。
正しい位置に配置できバラツキも調べます。
良くない所があれば修正し、問題なければ最後に実際弾いてみてチェックします。
やっぱり最後は人の手に限ります!
◎写真は鍵盤の重量を測定しているところです。